連載第4回 「成長止めない新手術」
読売新聞の「医療と介護」覧の中の「医療ルネサンス」にて、2006年2月14日~18日までの5回、脊柱側弯症に関する記事が連載されました。当時掲載された「医療ルネサンス」からの転載記事です
医療ルネッサンス
モニターに映るナビ情報を参考にしながら手術を進める(聖隷佐倉市民病院で)
背骨のわん曲は進み、50度を超えていた。東京都杉並区の中学1年生、岡山たける君(13)は11歳の時、「思春期には100度を超えるタイプ」と医師に言われ、手術を勧められた。2種類の手術を前に、親子は悩んだ。
少し前なら、その選択は、身長の伸びの停止を覚悟して手術を受けるかどうか、という思春期には厳しいものになったはずだ。
脊柱(せきちゅう)側わん症の手術では、通常、矯正した背骨を2本の金属棒で支えた後、背骨を固めてしまう。骨移植と呼ばれる方法で、肋骨(ろっ こつ)や骨盤の一部を細かく砕き、背骨の可動部を埋め、再度のわん曲を防ぐ。背骨の下部は動くため、日常生活に支障はないが、上半身の成長が止まってしま う。
当時、身長134センチのたける君には、選びがたかっただろう。
しかし近年、治療と身長の伸びを両立させる方法が登場した。伸縮式の金属棒を使う「グローイングロッド法」だ。金属棒で矯正するが、背骨は固めない。成長した背骨はたわんで、わん曲が増すが、その都度、小さく切開して金属棒を伸ばして矯正を繰り返す。
1回で済む通常の手術とは異なり、この方法では、金属棒を入れる手術の後、数回の延長と骨を固める最終手術が必要になる。
岡山さん親子は、東京都済生会中央病院(港区)で、主治医の整形外科顧問、鈴木信正さんから、この手術を提案され、受けるかどうかで悩んでいた。 「身長が低くても、手術は1度で済ませたい。手術を繰り返すことに抵抗があった」と母の兼子さん(39)。しかし、たける君は訴えた。
「もっと大きくなりたい」
たける君は、これまでに4度の手術に耐え、身長は18センチ伸び、152センチになった。5度目の手術を控え、「頑張ってきてよかった」と笑顔をみせる。
1回の手術で背骨を固定する従来型の手術でも、器具の改良が進み、以前よりもねじれを大きく矯正できるようになってきた。また、脊髄を傷つける危険を避けながら手術するため、手術器具の位置をコンピューターが読みとり、モニターに表示するシステムも使われている。
千葉県佐倉市の聖隷佐倉市民病院副院長の南昌平さんは「成長も病気の進行も個人差があります。手術法は、医師とよく相談して決めて下さい」と語る。
患者の生活の質を重視する形で、側わん症手術は着実に進歩している。
手術の対象 成長期にわん曲が40~50度まで進むと、成人後も徐々に悪化するケースが多く、将来、神経痛や 腰痛が出やすくなる。また60度を超えると、肺活量の低下が起き始める。様々な障害を招く、45度以上では手術が検討される。手術によるマヒなどの神経合 併症の発生率は、国際的な統計で0.7%。

