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側弯症の手術をして

「『側弯症』という病名さえ知らずに、軽い気持ちで受診に行った母と私は、突然の事に信じられない様な驚きで一杯になりました。けれど、手術した方のお話を聞いてやっぱり早く手術してしまったほうが良いかな・・・と決心しました。」(女性会員 13才)

 

「一体、これはどうしたんですか」

 これが最初に鈴木先生にいわれた言葉です。レントゲンには、曲がった私の背骨が写っていました。特発性思春期脊柱側弯症で、この先90%進行するので、早く手術をしたほうが良いと言う事でした。

『側弯症』という病名さえ知らずに、軽い気持ちで受診に行った母と私は、突然の事に信じられない様な驚きで一杯になりました。けれど、手術した方のお話を聞いてやっぱり早く手術してしまったほうが良いかな・・・と決心しました。

 〈造影検査〉
 私は手術入院する前に一週間程度、この検査の為に大槻病院に入院しました。今思うと、この検査のほうが手術より辛かったです。生まれて初めての入院とい う事に加え、個室だったので心配症の私は寂しさと不安に取り憑かれていまいました。それに私の場合、頭痛と嘔吐で大変でした。後の手術の事を考えても特に 心配性の方には大部屋をお勧めします。

 〈手術〉
 検査入院の後、一ヶ月程たってから同じ大槻病院に入院しました。大部屋で、もうすぐ手術をするという側弯症患者さんと、もうすぐ退院するという側弯症患 者さんが一緒でした。だから、手術前は漫画を読んだり、夜はトランプをしたりと楽しく過ごす事ができました。また、手術でどの様な事をするのか、教えても らえるので不安にならずにすみました。なにより、手術後の患者さんの元気な姿は、とても励みになりました。

 手術当日は、鈴木先生から言われた通り「血を出さない様にするぞ。背骨を真っ直ぐにするぞ・・・」と前向きに考える様にして、手術場へ行きました。手術場でも先生が「心配ないからね」と優しく言って下さったので、安心して手術を受ける事ができました。

 この手術入院の中で特に印象的だった事が、二つあります。

 一つは、手術の終わった後の居た処置室から、元の病室へ戻って来た時の事です。処置室に居た時はとても時間が長く感じられ、(このまま、ここから出られないのでは)という事まで考えていた私は、病室に戻って来られた時とてもホッとしました。

 その日は戻ってくるなり点滴が取れ、背中の抜糸も行われ、髪の毛も洗ってもらいました。背中の突っ張った感じが取れ、すっきりした気分で100%オレンジジュースをちょうど夕日色に染まった部屋で飲んだおいしさ─。うれしさがこみ上げてくる様な感動は忘れられません。

 もう一つ印象的だったのは、大槻病院の芦田先生をはじめとする、看護婦さんや助手さん方です。お風呂の時、まるで友達の様に自分の中学時代の話をして下 さった助手さん、雪が降った日の朝、その雪をお盆にのせ皆に分けて下さった看護婦さん、毎日一言ずつ各患者さんに笑顔で話しかける婦長さん、どんな質問に も丁寧に答えて下さったり、まるでテディベアの様な雰囲気の芦田先生。しっかりとしていて温かい・・・そんな方々でした。人間は、励まされると体も良くな ろうとする様に思います。

 今考えると私の場合は、側弯症の発見から手術、退院があっという間に過ぎて行った様に思います。でもその短い間に、学校では学べない事が、沢山周りに溢 れていました。普段、何気なく生活できて居る事の幸せ、自分は色々な人に支えられているという事、前向きに考え行動する事の大切さ一つの言動が持つ大きな 力。

 辛いときはあったけれども、背骨は真っ直ぐになったし色々な貴重体験ができ、そういう意味でも手術をして良かったと思います。

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