脊柱側弯症の話 - 装具治療が必要な方々のために (B-6 治療法)
あやめの会 会報2号(平成5年発行)に掲載された寄稿より
東京都済生会中央病院 整形外科部長 鈴木信正
B-6 治療法
それでは、そういう自然経過をふまえて治療には、どういった種類があるのか、側弯症の治療は簡単に言って3つしかありません。放置、保存的療法、手術の3つだけです。
放置というのは、放っておいていいと言う事では決してないのです。発育盛りの子供の場合には、今言った自然経過というのがあるので、30度未満の側弯ではその経過を見て行く、定期的にチェックをする、レントゲンを撮る、またはモアレ法を使う、または診察だけでいい、定期的にその変形をきちんとチェックする、これが放置の意味です。ところが20歳以上になって15゜の側弯、これはまったく無視して良い、むしろ正常範囲内である、これが本当の意味の放置になります。
一方、発育期に30゜以上だと進行する確率が非常に強いので保存的治療の適応になります。保存的治療とは手術でない治療法だという事です。
そして、40゜を越えると非常に進行の確率が高く、思春期で45゜以上の側弯に対しては、手術をするべきであるというのがおおよその治療方針です。
側弯症の治療は、どれをとっても余り気持ちの良いものではありません。しかしながら特発性側弯症では原因もまだ解っていませんから真の予防はありません。予防に変わるものは早く見つけて、早くきちんと管理に持って行く、すなわち、放置するのか、保存的治療をした方がいいか、手術をした方がいいのかと、方針を早く決定する事が予防という事につながります。また、軽度の側弯症の場合にあれをやったら側弯が悪くなる、これをやったら側弯が進行しなくなるといったことはまったく無い事を良く理解して頂きたいと思います。