脊柱側弯症の話 - 装具治療が必要な方々のために (B-2 歴史)
あやめの会 会報2号(平成5年発行)に掲載された寄稿より
東京都済生会中央病院 整形外科部長 鈴木信正
B-2 歴史
この過去10年間で側弯症の自然経過というものが非常に良く解ってきました。それは特にスウェーデンでの研究に負うところが多いのです。1960 年代にスウェーデンで行われた、1901~1920年の間にスウェーデンで側弯の治療を受けた方の調査では、重度の側弯症の人達の死亡率は、同年代の予想される死亡率の2倍であり、死因の70%が心不全である、すなわち肺動脈高血圧症から右室肥大になって心不全になるという結果がでました。
1960年代のその調査から手術療法というものが非常に大きなウェイトを占めるようになりました。手術療法では、画期的な変化が1950年代に起こっていました。それは、側弯を矯正する金属の棒を入れて矯正を保ち骨を移植して固定する、インストルメンテーションという手術法が開発されました。
体操療法に関しては、1940年後半のアメリカ整形学会の調査で、体操療法を受けた人達は50%が進行、50%が不変すなわち、体操療法は無効であるという結果が確定しております。
装具療法の開発では、やはり1950年代に、ミルウオーキーブレースという装具が開発されました。この装具の理論を基に現在では、その効果が明らかとなっている種々の装具が開発されています。