脊柱側弯症の話 - 装具治療が必要な方々のために (B-1 はじめに)
あやめの会 会報2号(平成5年発行)に掲載された寄稿より
脊柱側弯症の話 - 装具治療が必要な方々のために
東京都済生会中央病院 整形外科部長 鈴木信正
B-1 はじめに
脊柱側弯症の集団検診が始まって以来、12年が経過しその成果は着実に上がってきています。現在の統計では集団検診がきちんと行われている所と、いない所とではあきらかな差があります。すなわち集団検診がきちんと行われていない所では、手術の件数が多く、きちんと行われている所では、減少していてその代わり装具療法が増えているという結果が、東京地区、千葉県で出ています。東京都の中では、医師会主導でやっている所、予防医学協会方式でやっている所、そしてあまりやっていない所と、バラバラになっている現状です。
予防医学協会方式の集団検診法は、第1次チェックがモアレ、第2次チェックが低線量レントゲン、第3次チェックが直接レントゲン、というものです。現在、側弯症の早期発見の一番良い方法はこの予防医学協会方式だと思います。確実な診断、見落としも少ない、また見過ぎ、要するに側弯でない方を側弯だと言う事が少ない方法が、予防医学協会のモアレ法を用いた検診方法だと思います。集団検診は非常に大事であると同時に、モアレ法を用いた予防医学協会方式での集団検診の普及が、なお一層広がって行くのが、望ましいと思います。
だいたいの発見率は5~6%ですが、そのうち定期的観察が必要な側弯はおよそ0.7%、手術が必要な方は0.02%~0.01%位という事です。
集団検診で発見された後問題となるのは、その診断を患者さんもしくはその家族がどう受け入れるかと言う問題になってきます。そこで大事な事は側弯症の自然経過とは何かと言う事を良く理解することが大切になってきます。