脊柱側弯症・検診と事後管理をめぐる諸問題 - A6 民間療法は?
東京都済生会中央病院 整形外科部長 鈴木信正先生 (あやめの会会報1号(平成2年発行)に掲載された寄稿より)
脊柱側弯症・検診と事後管理をめぐる諸問題
東京都済生会中央病院 整形外科部長 鈴木信正
A-6 民間療法は?
現在、側弯症の治療で効果が確定しているものは、装具療法と手術療法だけである。 よく「あの治療法を行ったら良くなった」ということを聞くことがあるが、それらは自然経過として不変であった人達である。
側弯度が25度未満で7割、35度未満で約3割の人が放っておいても進行しなかったり、自然に良くなったりするのであるから、「何をしたから良くなった」といえるには、その治療法によって良くなったり、不変の人が統計的に有意の差をもって自然経過より多くならなければならない。しかしながら、一般にみられる民間療法にそのようなものは全くなく、すべて無効である。
筆者自身の外来にも、せっかく装具で良くコントロールされていたのに、装具がいやになって民間療法に走った結果、70度や80度にまで変形してしまったという人が来ることはまれではない。これらは、手術するしか方法がなく手術の時期としては手遅れともいえ、大変残念なケースである。また、25度未満の側弯で、何もしなくとも変わらないのにせっせと民間療法に通っている人も少なくなく、考えさせられることが多い。