脊柱側弯症・検診と事後管理をめぐる諸問題 - A1 はじめに
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脊柱側弯症・検診と事後管理をめぐる諸問題,
鈴木信正先生
東京都済生会中央病院 整形外科部長 鈴木信正先生 (あやめの会会報1号(平成2年発行)に掲載された寄稿より)
脊柱側弯症・検診と事後管理をめぐる諸問題
A-1 はじめに
脊柱側弯症の集団検診が一般化してから既に久しい。集団検診の成果は大きく、検診が組織だって行われている地域とそうでない地域とでは患者の差は明かである。
すなわち、検診がきちんと行われる地区では、大きく進行してしまった側弯患者は減少しており、反対に検診がきちんと行われていない地域では未だに大きく進行した側弯患者を多数みている。
一方、検診により側弯が発見された場合の教育現場での対応に問題が残されていると言わざるを得ない面があることを強調したい。
検診の目的は、学童の健康を守ることにある。したがって、側弯が発見されたことによって、こどもの心に大きな負担をかけてはならない。経過観察にせよ、装具治療を必要とするにせよ、学校側がこどもに精神的負担をかけるようなことがしばしばみられ、これは真に情けない現状であり、このようなことは厳に慎んでいただきたいものである。
こうした原因の一つには、教育現場の人々の側弯症に対する無知・無理解があり、この一文が側弯症の理解を深めるのにお役に立てば幸いである。
学童の健康管理は、単に肉体だけでなく、心も健やかに育てることにあり、教育現場には幅広い知識と大きな包容力が望まれる。