脊柱側弯症・検診と事後管理をめぐる諸問題 - A9 雑感
東京都済生会中央病院 整形外科部長 鈴木信正先生 (あやめの会会報1号(平成2年発行)に掲載された寄稿より)
脊柱側弯症・検診と事後管理をめぐる諸問題
東京都済生会中央病院 整形外科部長 鈴木信正
A-9 雑感
現在、側弯症治療の問題点は、専門家、すなわち側弯症を真に理解している整形外科医師がきわめて少ないことである。この点に対して、筆者は、側弯症学会前会長として何とかせねばならないと考え、現在対策を進めている。また、側弯症手術は、骨の生理学を学んだ医師、すなわち整形外科医師以外には適格者はいないことを強調したい。
側弯の装具治療は、真に側弯変形を理解した医師と装具制作者のチームワークが必要である。
手術は、経験豊富な専門家でなければ最良の結果は得られない。患者さんの立場で言えば、賢い消費者にならなければいけない。それにはどうするかというと、マスコミの報道を鵜呑みにしていてはいけない。現在は、医師不信を増長する破壊的報道ばかりが目に付く。医師の立場で言えば、相手が不信感を持っていることが前提になったならば、こちらも不信感を持った対応しかできなくなるのは当然である。信頼とは何か、これは、まさにお見合いのようなものであり、お互いに周波数のあった場合にこそ良い結果となるものである。
世の中には、ブランド品であれば中身、結果は気にしないと言う人も多い。ブランド志向とは医療でいえば、大学病院なら一番と考えている単純思考の人々である。しかし側弯に関しては、その場合一番迷惑するのは患者である子供だということに気づかない親が多いのは嘆かわしい。賢い消費者とは何か、それはブランド志向ではないことにある。